NeoMESeminar ネオMEセミナー
ネオMEセミナー(2021年11月25日13時30分〜)
日時:
2021年11月25日13時30分〜
(オンライン・日本語)
対象:
研究機関等に従事されている方
参加登録(必須):
本セミナーに参加登録いただいた場合、下記リンク先の秘密保持契約および注意事項に同意いただいたものとみなします。
講演者:
中村 直俊
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻・異分野融合生物学研究室(iBLab)
演題:
EphA2 と EGFR を介する肝細胞がんの悪性化経路の数理モデリング
要旨:
肝がんは世界で3番目のがん死亡原因(2020年)であり、その9割を肝細胞がんが占める。特に進行性肝細胞がんに対して、分子標的薬の効果は限定的であり、特異的な新薬が求められている。
肝細胞がんの治療が難しい理由として、がん組織の中に、EpCAMやCD90といった幹細胞マーカーを発現するがん幹細胞が存在することが挙げられる。EpCAM+の細胞は高増殖性と薬剤感受性、CD90+の細胞は高転移性と薬剤耐性の特徴をもつ。
この2種類の細胞特性を制御する細胞シグナルはどのように異なるだろうか?私たちは、肝細胞がんに対する分子標的薬であるソラフェニブに耐性の細胞で発現が亢進するEphA2に着目した。EphA2は肝がんなどに過剰発現する受容体型チロシンキナーゼで、その発現は悪い予後との相関が高い。
EphA2には、897位のセリンリン酸化を介して細胞運動や浸潤転移を促すシグナル経路と、588位のチロシンリン酸化を介して細胞の増殖や生存を抑制するシグナル経路が両方存在する。このことから、私たちは、異なる細胞グループが異なるEphA2の活性化パターンを示すことにより、異なる特徴をもつという仮説を立てた。これを検証するため、肝がん組織から樹立された6種類の細胞株を用いて、EphA2のシグナル経路の活性化の時系列を逆相タンパクアレイ法で解析し、数理モデルを用いてパラメータを詳細に分析した。本発表では、この解析からわかってきた特異的なシグナル経路について紹介する。
ネオMEセミナーについてはこちらからご覧ください。
https://iblab.bio.nagoya-u.ac.jp/about/activities