NeoMESeminar
ネオMEセミナー

ネオMEセミナー(2021年5月26日14時00分〜)

NeoMESeminar

日時:

2021年5月26日14時00分〜


共催:

ウイルス学若手ネットワーク(https://youngvirologistnw.weebly.com/)
(オンライン・日本語)

参加登録(必須):

https://forms.gle/A6DvsHhv5Rtvgcs78

講演者:

岩本 将士
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻異分野融合生物学研究室(iBLab)
国立感染症研究所ウイルス第二部

演題:

デルタウイルスの進化と伝播戦略について

要旨:

 サテライトウイルスは単体でウイルス生活環を再現することができず、他ウイルス(ヘルパーウイルス)をウイルス粒子形成に必要とする。デルタウイルス属に属するD型肝炎ウイルス(HDV)はB型肝炎ウイルス(HBV)
エンベロープタンパク質を利用して感染伝播するサテライトウイルスである。1977年にHDVが報告されて以降約40年間、新しいデルタウイルスの報告は無かったが、最近の研究でHDVに近縁のデルタウイルスが様々な動物種より報告された。しかしながら、デルタウイルスの進化やヘルパーウイルスとの関係性の変化などは未だ不明な点が多い。最近我々は、バイオインフォマティクスと実験解析手法を用いて、鳥類および齧歯類より新規デルタウイルスを同定した。これらウイルスはヒト細胞内で複製能を示したが、HDV同様に単体でウイルス粒子を構築できなかった。興味深いことに齧歯類デルタウイルスはこれまで報告されたデルタウイルスの中でHDVに最も近縁であったにも関わらず、HDVとは異なりHBVエンベロープタンパク質をウイルス粒子構築に利用できなかった。この結果は、”HDV・HBV”における
”サテライト・ヘルパー”の関係性は他デルタウイルスと系統上分岐した後に構築されたものであり、HDVは進化の過程でHBVエンベロープを利用して感染伝播する能力を獲得した可能性を示す。本発表では、最近研究が進んでいるデルタウイルスの進化とユニークな伝搬機構について議論したい。

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